CloudNative Days Summer 2025 プレイベント 登壇記録 「音声プラットフォームのアーキテクチャ変遷から学ぶ、クラウドネイティブなバッチ処理」

こんにちは、Voicyのソフトウェアエンジニアの千田です (@thousan_da) 。開発チームのリーダーを担当しており、専門領域はバックエンド開発とクラウドインフラです。

本記事では、2025年4月22日 (火) に開催された CloudNative Days Summer 2025 プレイベント での登壇を振り返ります。

イベントについて

↓ イベントの詳細 ↓

こちらのプレイベントは、2025年5月23日 (金) に沖縄で開催されるテックカンファレンス、"CloudNative Days Summer 2025" に1か月ほど先駆けて実施された前夜祭的な勉強会です。

本編へのリンク: https://event.cloudnativedays.jp/cnds2025

私の解釈ではCloudNative Daysは、参加者が交流しながら、クラウド環境を前提とした (= クラウドネイティブな) ソフトウェアの構築・実行・運用等の知見を深め、そのような取り組みの推進自体にも貢献するためのカンファレンスです。

以下、公式サイトからの引用です。

CloudNative Days はコミュニティ、企業、技術者が一堂に会し、クラウドネイティブムーブメントを牽引することを目的としたテックカンファレンスです。

最新の活用事例や先進的なアーキテクチャを学べるのはもちろん、ナレッジの共有やディスカッションの場を通じて登壇者と参加者、参加者同士の繋がりを深め、初心者から熟練者までが共に成長できる機会を提供します。

皆様がクラウドネイティブ技術を適切に選択し、活用し、次のステップに進む手助けになることを願っています。

クラウドネイティブで、未来を共に創造しましょう。

プレイベントでは、本編に採択されなかったプロポーザルの中から3つのセッションが選ばれました。

セッション

音声プラットフォームのアーキテクチャ変遷から学ぶ、クラウドネイティブなバッチ処理

千田からは、バッチ処理の設計についてのお話しをさせていただきました。

発表の概要であるプロポーザルはこちらです。

https://event.cloudnativedays.jp/cnds2025/proposals/855

既存システムのクラウド移行の際、単にクラウドで実行するだけではそのメリットを享受することができません。移行前と同等の性能を出すために移行前以上のコストがかかってしまうことさえあります。

本セッションでは、Voicyの音声処理アーキテクチャの変遷を通じて、クラウド環境におけるバッチ処理の設計についてお話しします。ワークロードに応じて適切なリソースが割り当てられる設計とすることで、性能とコストの両方を改善することができます。

具体的には、従来のCronベースの逐次処理から、並列化による処理の高速化、キューを活用したイベントドリブンな形式への変更、コンテナによるオートスケーリングの適用といった流れと、それぞれの変更の狙いを解説します。また、その過程におけるマネージドサービスと内製サービスの使い分けについてもご紹介します。

今回テーマとする音声処理には、アップロードされた音源のフォーマット変換やノイズ低減、音量調節などが含まれます。これらはビジネス的な制約により、遅くとも数分以内の完了が求められます。

音声プラットフォームであるVoicyで行われている音声処理のアーキテクチャ変遷を通じて、クラウド環境下においてどのような点に気をつけてバッチ処理を実装していけばいいかお話しする、という内容です。

より具体的には、「Autoscalingできる状態」をゴールに置き、スケーラブルではない初期のアーキテクチャから、柔軟なAutoscalingが可能なアーキテクチャに至るまでの過程を紹介しています。Autoscalingをゴールに置いた理由は、これを実現することでパフォーマンスとコストの両方を改善することができるためです。

以下でスライドを公開しているので、気になった方はご覧ください。

音声プラットフォームのアーキテクチャ変遷から学ぶ、クラウドネイティブなバッチ処理 (20250422_CNDS2025_Batch_Architecture) - Speaker Deck

その他の発表

続く2つの発表もおもしろかったので、ぜひご覧ください。

発表2: GMOペパボ株式会社 / Kohei Shibata さん

進化するK8s運用:KarpenterによるCluster Autoscalerからの脱却、運用ノウハウ完全公開 - Speaker Deck

発表3: 株式会社スリーシェイク / nwiizo さん

生成AIによるCloud Native基盤構築の可能性と実践的ガードレールの敷設について - Speaker Deck

感想

今回の発表では、聞き手として、クラウド環境でバッチ処理を設計するアーキテクトや開発者の方を想定していましたが、内容は基本的なプラクティスを順に当てはめていくというものです。そのため、プレイベントに集まるほどクラウドネイティブに関心がある方々にとっては、簡単すぎる内容なのではないかと危惧していました。結果として、そう感じた方ももちろんいたかもしれませんが、勉強になったというお声も現地、Twitter上の両方でいただくことができて安心しました。

苦労して30分という比較的長めの発表を行った甲斐がありました。

次回はプレイベントではなくCloudNative Daysの本編で登壇ができるよう、話のネタになるようなおもしろい開発活動に取り組んでいこうと思います。

最後に

本記事の内容に興味を持ってくださった方からのフォローをお待ちしています。

https://x.com/thousan_da

また、「そんなアーキテクチャじゃだめだ。もっと良くできる。」と思った方は、ぜひVoicyの開発チームに加わってください。ご連絡お待ちしています。