try! Swift Tokyo 2026参加レポート

はじめに

Voicyでプロダクトエンジニアとして働いているtomo(@tomodev0015)です。 先日、同僚のおはぎ(@a_key_bako)さんと、try! Swift Tokyo 2026 に参加してきました。

今回のカンファレンスでは、

  • Private API を題材にしたワークショップ
  • ローカライズやアクセシビリティに関するセッション
  • SwiftUI の内部実装に踏み込んだ発表

などを通して、「より良いユーザー体験をどう設計するか」を改めて考えさせられました。

本記事では、特に印象に残ったセッションや、実際に参加して得られた学びを紹介します。

イベント概要

try! Swift は、Swift を使った開発者向けの国際カンファレンスです。 今年は立川ステージガーデンで、4月12日(日)から4月14日(火)までの3日間開催されました。 初日はワークショップ、2日目以降はカンファレンスというスケジュールでした。

会場では英語で会話している参加者も多く、まるで海外カンファレンスのような雰囲気でした。 セッションもほとんど英語で行われており、日本にいながら国際的な技術イベントに参加している感覚を味わえました。

tryswift.jp

ワークショップ

私は今回、「iOS Private Playgrounds」というワークショップに参加しました。 Private API とは、Apple が公式には公開していない Apple 内部向けの API です。 当然、App Store に公開するアプリでは利用できません。

一方で、Private API の仕組みを知ることで、

  • iOS の内部実装への理解が深まる
  • ローカルデバッグに活用できる
  • Apple の API 設計思想を学べる

といったメリットもあります。

私自身、「iOS の内部ではどのように UI が構成されているのかをもっと深く理解したい」というモチベーションで参加しました。

ワークショップでは、実際に Private API を利用しながら、通常では実現できない UI カスタマイズを体験できました。 私は、本来は画像やフォントなどを変更できないモーダルを、Private API を利用してカスタマイズしました。

ワークショップで作成したカスタムモーダル

普段は触れることのない API を実際に動かしてみることで、 「iOS の UI は内部でこういう構造になっているのか」と理解が深まり、とても面白かったです。

また、Private API の中には外部公開をリクエストできるものもあることを知り、Apple の API がどのように進化していくのかを考えるきっかけにもなりました。

印象に残ったセッション

翻訳を超えて:Foundation.Localeで理解するローカライズ

ローカライズは「翻訳」ではなく「体験」

このセッションで特に印象的だったのは、Apple がローカライズを「Feel at Home」と表現していたことです。

ローカライズというと、これまでは単純に「翻訳すること」というイメージを持っていました。 しかし実際には、「ユーザーが自然に感じられる体験を提供すること」そのものがローカライズなのだと認識が変わりました。

例えば、日本では日付を 2026/4/12 のように「年月日」の順で表記されます。 一方、英語圏では 4/12/2026 のように順序が異なります。

それ以外にも、

  • 通貨表記
  • 温度単位
  • 数値フォーマット
  • 文法や複数形
  • RTL / LTR による UI の向き

など、多くの要素に文化的背景が関係しています。

個人的な学びとしては、Apple が提供している SFSymbols もローカライズに対応しており、RTL と LTR の違いによって表示が変わるケースがあることでした。

普段のアプリ開発でも、 言語を置き換えるという意味での「多言語化対応して終わり」ではなく、 文化や利用文脈まで考慮した設計を意識したいと思いました。

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The Art of Caring(思いやりという技術)

Klemens Strasser さんによるセッション。 インディーズアプリ開発者であり、Apple Design Award の受賞者でもあります。

アクセシビリティは「一部の人向け」ではない

このセッションでは、アクセシビリティを単なる補助機能としてではなく、「全てのユーザー体験を良くするもの」として捉えていた点が印象的でした。 紹介されていた動物パズルアプリでは、パズルの表面には動物の画像、裏面には解説文が表示されていました。

視覚障害のある方でも楽しめるように、

  • 解説文を VoiceOver に対応させる
  • 裏面の解説文もパズルとして扱えるようにする
  • パズル操作や完成時に適切な効果音を使い分ける

など、多くの工夫がされていました。

また、アクセシビリティ機能をオンボーディングに組み込むことで、ユーザーが機能を発見しやすくするという考え方も非常に印象的でした。

さらに、特定の恐怖症を持つユーザーに対して、特定の動物を表示しないようにしているという話もあり、「ユーザーに寄り添う」とはどういうことかを深く考えさせられました。

「障害のある人への配慮」は、一部の人のためだけではなく、結果的に全ユーザーにとってより良い体験につながる。

この考え方は、今後のプロダクト開発でも強く意識したいと思いました。

App Store レビューとの向き合い方

レビュー評価を維持するための考え方についても非常に興味深かったです。

特に印象的だったのは、

  • メールの向こう側にはユーザーがいることを意識する
  • 改善要望を送りやすい導線を作る
  • フィードバックへの対応を素早く行う

といった、「思いやり」を軸にした姿勢でした。

また、低評価レビューも無視せず、 「なぜそのレビューが書かれたのか」を理解しようとすることの重要性についても語られていました。

単に機能を作るだけでなく、ユーザー一人ひとりと向き合うことの大切さを改めて実感したセッションでした。

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Why is SwiftUI like that?(SwiftUIってなんでこうなるの?)

iOS アプリ開発に携わる人なら誰もが知る Paul Hudson 氏のセッションです。

内容はもちろん素晴らしかったのですが、個人的にはプレゼンテーションの完成度の高さがとても印象的でした。 まるで WWDC を見ているようなテンポ感と構成で、人を惹きつける話し方に圧倒されました。 「いつか自分もこんな発表をしてみたい」と強く思いました。

セッション内容は、SwiftUI の内部構造や仕組みに関するものでした。

SwiftUI の内部構造については、個人的に関心のある分野だったので、とても楽しめたセッションでした。

  • View の親子関係
  • View Identity
  • State の保持タイミング

など、SwiftUI を理解するうえで重要な基礎概念についての説明がなされていました。

SwiftUI は、仕組みを深く理解していなくてもある程度は簡単に UI を作れます。 しかし、内部構造を理解していないと、View が再生成されたり、想定外の再描画が起きるなどの挙動に悩まされることがあります。

普段なんとなく使っていた部分を、内部実装レベルで理解できたのが非常に面白く、改めて「フレームワークを理解することの大切さ」を感じました。

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最後に

try! Swift に今回初参加してみて、技術面だけでなく、開発者同士の交流や国際的な雰囲気など、多くの刺激を受けることができました。 実際に、海外の開発者の方と慣れない英語でコミュニケーションする場面もあり、日本にいながら海外カンファレンスに参加しているような感覚を味わえました。

また、今回のセッションでは、アクセシビリティやパーソナライズなど、「ユーザー一人ひとりにどう向き合うか」というテーマが多く、自分自身のアプリ開発に対する考え方にも新しい気づきがありました。

英語でのセッションが中心だったこともあり、 「いつか自分も英語で登壇してみたい」と思えるような、大きなモチベーションをもらえたイベントでした。

今後は、技術力だけでなく、アウトプット力や英語力も高めながら、こうした場で自分自身も発信できるようになりたいと思います。