新米EMがEMConf JP 2026で実感した「SMARTの限界」と「事業目線の第一歩」

こんにちは!エンジニアリングマネージャー(EM)兼QAリーダの Sammy です。現在は2つの開発チームでEMを兼任しています。

EMとしてのキャリアを歩み始めて半年余り。

日々の業務の中で手探りな部分も多く、「もっと広くEMとしての知識を身につけたい」「他社ではどんな風に組織課題に向き合っているのか、リアルな事例を知りたい」という思いから、今回EMConf JP 2026に参加してきました。

熱量が高いうちに、カンファレンス全体を通しての感想と、特に刺さった学び、そして明日からのNext Actionをブログにまとめたいと思います。

「こんなにEMっていたんだ!」と、愛すべきEMの職業病

会場に足を踏み入れてまず驚いたのは、「世の中にこんなにEMをしている人たちがいるのか!」という事実でした。

今回のEMConfは参加者が約700名、懇親会にも約400名が参加するというものすごい熱気。

普段社内で仕事をしていると、EMという役割の人間は周囲にそう多くありません。

どこか孤独を感じる瞬間もある中で、これだけ多くの同じ立場の仲間が一堂に会している光景には、それだけで勇気づけられました。

そして、もう一つ強く印象に残ったのが、参加者の方々の「リアクションの良さ」と「コミュニケーションの積極性」です。

セッションを聞いているとき、みんな深く頷きながら登壇者の言葉に耳を傾けていました。また、懇親会でも初対面の方に対して積極的に話しかけていく方ばかり。

この光景を見ていて、ふと思いました。

「ああ、みんな普段の仕事現場で、メンバーとのコミュニケーションに悩み、どうすればうまく伝わるか、どうすれば心理的安全性の高い場を作れるか、日々泥臭く工夫を重ねている人たちなんだな」と。

この「傾聴力の高さ」や「場を温めようとする姿勢」は、まさにEMの愛すべき職業病なのかもしれません。

時代の変遷:「SMARTな目標」だけではもう足りない

今回のEMConf全体を通して、個人的に最大の気づきであり、時代のパラダイムシフトを肌で感じたテーマがあります。それは「SMARTの法則だけでは、今の時代は乗り切れない」ということです。

実は今回、私が参加したセッションのうち3つで、この共通のメッセージが語られていました。

基調講演『冒険する組織のつくりかた』(安斎勇樹氏)

その中でも特に大きな衝撃を受けたのが、安斎さんの基調講演です。

(安斎さんはVoicyでも配信されています!)

voicy.jp

従来のマネジメントでは、目標は「SMART(具体的で、測定可能で、達成可能で…)」であることが常識とされてきました。

しかし安斎さんは、それだけでは足りず、これからの変化の激しい時代には「ALIVEの法則」が必要であると提起しました。

特に印象的だったのは、「メンバーが今、何を面白いと思っているのか? 何に興味を持っているのか?」という、個人の内発的動機や感情(ワクワク感)にフォーカスする姿勢です。

これまでも、メンバーとの会話の中で「次はどういうことにチャレンジしたい?」という話はしていました。しかし、なぜ重要なのか、他にどういう要素があるのかなど俯瞰して考えていませんでした。

「冒険する(挑戦する)組織」を作るためには、機械的な目標管理から一歩抜け出し、メンバーの血の通った「面白さ」や「興味」を原動力にしていく必要があることを再度実感しました。

「事業目線」の解像度を上げる3つのステップ

『「事業目線」の正体 〜3つのフェーズのCTO経験から見えてきた、EMが持つべき視点』(sotarok氏)

speakerdeck.com

もう一つ、非常に腹落ちしたのがsotarokさんのセッションです。

EMに求められる「事業目線」とは一体何なのか?という問いに対し、「自分たちの立場から、事業全体への接続ができている状態」であると定義し、それを実現するためのステップを3つのレベルで解説されていました。

  • レベル1:自組織に関わる数字の見える化
  • レベル2:お客様と隣接組織を知る(お客様を知り、エンジニアとしてどう解決できるか)
  • レベル3:戦略に反映する

「事業目線を持とう!」と急に言われても戸惑ってしまいますが、まずは自分たちの足元の数字を「見える化」すること(レベル1)から始めればいいんだ、という具体的なロードマップが提示されたことで、視界がとてもクリアになりました。

そして、その数字の先にある「お客様」を知り、技術でどう解決するか(レベル2)に繋げていく。この一連の流れは、EMとして常に意識しておきたいと感じました。

自組織の軌跡と、来年への決意

『組織崩壊と向き合う技術〜2度の崩壊から得た再生の実践知〜』(山元亮典)

実は今回、VoicyのVPoEであるやまげんさんも登壇しました。

身内のセッションではありますが、一人の参加者として聞きながら当時のことを思い出しました。そして同時に、あの頃と今を比較して、組織の雰囲気が見違えるほど良くなっていることを改めて実感し、感慨深くなりました。

この再生のプロセスを経て、今の私たちのチームがあります。

やまげんさんのセッションを聞きながら、「来年のEMConfでは、再生した組織で『ここまでアウトカムを出せるようになりました!』というポジティブな事例を発表できるようになりたい」という強い決意が芽生えました。

基調講演『AI Coding の先にある、Engineering Manager の本当の仕事』(藤倉成太氏)

最後の基調講演の内容もとても印象的でした。

特に、数多あるエンジニアの能力のうち、今後どんな能力を発揮すべきか?というお話の中で、以下の3つが紹介されました。

  • 何を作るべきか
  • どの技術を使うかの判断
  • 結果に責任を持つ

何を作るべきかというのはまさに最近自分が身につけていくべきものだと感じており、大変共感しました。

どんな機能を作っていくのか、どんなサービスを作っていくのかというwillとも言える部分は今後も大事にしていきたいです。

明日から自チームで実践すること(Next Action)

今回のEMConf JP 2026を通して多くの学びを得ましたが、それを「いい話を聞いた」で終わらせず、明日からの現場に持ち帰りたいと思います。

具体的には、以下の2つから始めてみます。

1. 組織に関する数字を毎朝見て、「つぶやく」

sotarokさんのセッションにあった「レベル1(自組織に関わる数字の見える化)」への第一歩として、これを実践します。

自分自身が数字を意識するのはもちろんですが、毎朝あえてSlackなどで「つぶやく(発信する)」ことで、チーム全体にも自然と数字への意識や、事業との繋がりを感じてもらうキッカケを作りたいと考えています。

2. 「今、何が面白いか?」を対話に組み込む

安斎さんの「SMARTからALIVEへ」の学びを活かし、1on1などの場で、これまで以上にメンバーの「今の興味」や「ワクワクしていること」にフォーカスする対話を増やしていきます。

ロジックだけでなく、感情や内発的動機を大切にするマネジメントを心がけたいです。

おわりに

新米EMとして参加した初めてのEMConfでしたが、想像以上の熱量と、明日から使える実践的な知見、そして何より「同じように悩み、奮闘している仲間がこんなにいるんだ」という勇気をもらうことができました。

素晴らしい場を作ってくださった運営スタッフの皆様、登壇者の皆様、そして会場や懇親会でお話しさせていただいた皆様、本当にありがとうございました!

学んだことを自チームに還元し、来年は「アウトカムを出した事例」を持ってまたこの場に戻ってきたいと思います。